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NVIDIA株に何が起きたのか

NVIDIAの株価は2025年初から大きく下落し、1月の高値153.13ドルから3月末には109.67ドルまで落ち込んだ。前年比では21.86%上昇しているものの、短期的な下落はAIチップ需要の鈍化、AmazonやGoogleなどによる独自チップの進出、地政学的リスクなどが影響している。財務は好調で、2025年度には1305億ドルの売上と728.8億ドルの純利益を記録。それでも、市場は将来の成長性に対して慎重になっており、NVIDIAの今後数か月の展開が注目される。

最終更新

25/3/31

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NVIDIA株が下落している理由


2025年3月31日時点で、NVIDIAの株価(ティッカー:NVDA)は109.67ドルに下落。年初からの下げが続いており、1月の高値153.13ドルから28%以上下落している。この急落の背景には、複数の要因が複雑に絡んでいる。業界リーダーである同社でも、短期的な懸念が投資家心理を圧迫している。


AI需要の飽和とボラティリティ


2023〜2024年のAIブームの反動で、一部アナリストや投資家は、H100や次世代のBlackwellシリーズといったハイエンドAIチップの需要が一巡したと懸念している。SNS「X」では、多くの投稿がAI需要の鈍化やデータセンターでの追加投資が減っていることを指摘しており、悲観的なムードが拡大している。


  • 2025年年初来で18.3%下落

  • 1月高値から28%以上の下落

  • AIインフラ投資がピークアウトとの見方

  • AmazonやGoogleが独自チップを開発

  • NVIDIA製GPU依存度の低下懸念


AmazonのTrainiumやGoogleのTPUなど、大手クラウド企業が独自チップを展開する中、NVIDIAのデータセンター収益への影響も懸念材料。専用設計チップは高性能かつコスト効率にも優れ、同社の優位性を脅かしている。


さらに、3月23日には「デスクロス(Death Cross)」と呼ばれるテクニカル指標が出現。50日移動平均線が200日線を下回る現象で、下落トレンドの継続を示すシグナルとして知られる。これが投資家心理を冷やし、売り圧力を強めた可能性がある。


地政学リスクとマクロ要因


NVIDIA株の下落要因は企業固有の問題にとどまらず、地政学的・マクロ経済的な懸念も絡んでいる。2024年末から米政府は先端半導体の対中輸出制限を強化する動きを見せており、中国市場での販売が厳しくなる可能性が浮上している。これはNVIDIAにとって大きなリスクだ。


中国の台頭と輸出制限の影響


2025年1月には、中国製AIモデル「DeepSeek」が西側モデルに匹敵する性能を持つという報道があり、市場に衝撃が走った。これを受けてNVIDIA株は急落し、数日で時価総額が4000億ドル以上消失。一時は3.3兆ドルから2.9兆ドルを下回る水準まで落ち込んだ。


  • 米中対立による輸出制限強化の可能性

  • 中国市場での売上リスク

  • AI技術におけるグローバル競争激化

  • 時価総額が一時2.9兆ドルを下回る

  • 規制リスクが株価の重しに


加えて、金利上昇、インフレ圧力、テック製品に対する新関税への懸念など、マクロ経済環境も逆風となっている。Apple、Tesla、Amazonといった「マグニフィセント7」銘柄全体が調整局面にあり、成長株への選好が弱まっている。


それでも、NVIDIAの業績は驚異的だ。2025年度の売上高は1305億ドル(前年比+114.2%)、純利益は728.8億ドル(+144.89%)を記録し、EPSも3.01ドルと市場予想を上回った。営業利益率も75.3%と高水準を維持している。


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NVIDIAの株価は2025年初から大きく下落し、1月の高値153.13ドルから3月末には109.67ドルまで落ち込んだ。前年比では21.86%上昇しているものの、短期的な下落はAIチップ需要の鈍化、AmazonやGoogleなどによる独自チップの進出、地政学的リスクなどが影響している。財務は好調で、2025年度には1305億ドルの売上と728.8億ドルの純利益を記録。それでも、市場は将来の成長性に対して慎重になっており、NVIDIAの今後数か月の展開が注目される。

今後の展望と投資家心理


現在、NVIDIAに対する市場の見方は真っ二つに割れている。強気派はAIハードウェア市場における同社の支配的ポジションや、次世代Blackwellチップの投入、自動車やゲーム分野への展開を好感。一方、弱気派はバリュエーションの高さや成長鈍化、競争激化を懸念している。


アナリストの評価とSNSの温度差


一部アナリストは、2025年第4四半期の売上予想(325億ドル)が堅調なことや、今後の新製品投入を材料視し強気を維持している。一方で、このガイダンスが強気派の期待に届かなかったとの見方もあり、決算後に株価が反落したのはその証左だ。現在のPERは約36倍と、依然として割高感がある。


  • Q4見通しは堅調だが市場の期待を下回る

  • PERは依然として高水準

  • SNS上でも「押し目買い派」と「バブル懸念派」が拮抗

  • テクニカル指標はさらなる下落を示唆

  • ファンダメンタルズは依然として良好


SNS「X」では、NVIDIAを「未来経済の基盤」として押し目買いを推奨する投稿がある一方、「2024年のAIバブルが崩壊する前兆」と警戒する声も多い。ミーム画像では株価チャートをジェットコースターに例える投稿も多く、投資家の不安と期待が交錯している。


今後の株価は、AIインフラ需要の再加速、Blackwellチップの商業的成功、そして新興国からの競争への対応力に大きく左右されるだろう。投資家は今後の決算、新製品発表、そして規制の動向を慎重に見極める必要がある。


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